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~超音波はんだ付工法と原理~
“つかない”ものに”つく”。超音波が生み出す新たな未来

【常識を覆す超音波。ガラスやセラミックにもはんだ付が可能】

これまでのはんだは、基本的にはんだ(錫)と母材金属を接合するものでした。
超音波は、はんだとガラスやセラミックといったように金属と非金属を接合する新時代へ向けて注目を集める技術です。
世界的に自然エネルギーの普及が進むなか、太陽光発電用のソーラーパネルへの電極付けを機に、数年前から新たに注目を集め使われるようになりました。
昨今、再注目される「超音波はんだ付」について、その原理を解説します。

超音波はんだ付工法,超音波はんだ付原理,超音波付 はんだ 原理

同じ超音波はんだ付。母材によって異なる結合原理とは。

元々、超音波を活用したはんだ付は1961年にイギリスのCourtesy of Mullard社が開発したという記録が残っています。

アルミニウムやステンレスは本来、強固な酸化被膜を有しているためその皮膜を取り除けばはんだ付が可能です。今までも特殊なはんだ付では、強酸フラックス等を用いて酸化被膜を除去し、アルミ等へはんだ付を行っています。ただ、RoHS等に代表される昨今の環境規制により、汚染度の強いハロゲン物質の使用が避けられる傾向にあります。
一方、ガラスやセラミクスはそれ自体が酸化物であるため、これまでのはんだ付原理は通用しません。

超音波のメカニズム:キャビテーション現象 “1/5万秒のエネルギー”

液体に超音波振動を与えると、その流れのなかの圧力差によって気泡状の小さい空洞が発生します。この現象をキャビテーション(キャビティ=空洞)と言い、
空洞が大気圧によってつぶされます。その瞬間(1/5万秒)に大きなエネルギーを発生させます。
超音波はんだ付はキャビテーションの空洞エネルギーを利用し、酸化被膜を除去することが可能です。
超音波がフラックスなしでもはんだ付が出来るのはこのメカニズムを活用しているためです。

キャビテーションの爆発による除去作用(対金属)

超音波はんだ付システムは、ヒーターで加熱したこて先から約60KHzの超音波を発振しながらはんだ付を行います。
振動子により発振された超音波がホーンを介してこて先に伝わり、はんだ付母材と溶融はんだの境界付近にキャビテーションによる泡が発生させます。
キャビテーションの爆発力によって酸化物の表面を改質し、汚れや酸化被膜等を除去し、同時にはんだと母材の溶解・拡散作用によって拡散層を生成させます。

はんだアルミ拡散層

アルミ板へのはんだ付(SEM:x6,000)

はんだアルミ拡散層

はんだ-アルミ板(EDX)

【酸素を媒介とした結合作用(対非金属)】

ガラスやセラミクスは、存在そのものが酸化物であるため、従来のはんだ付メカニズムでは結合させることが出来ません。
超音波のキャビテーション効果により発生した空洞が潰れる瞬間、酸素を取り込むと同時に熱エネルギーを放出させます。
そのエネルギーを活用し、溶融した酸素親和力の強いはんだの金属元素が、取り込まれた酸素を媒介として、ガラス等の表面と共有結合を行うものと考えられています。(※1)
超音波の振動により溶融はんだは十分攪拌され、接着界面のはんだは酸素をより取り込みやすくなるため、より強固な共有結合が可能になります。また、一般のはんだと比べても、幾何的性質、科学的性質、接合強度は遜色がありません。この酸素結合が超音波はんだ付工法のユニークな原理となっています。

(参考資料:1976年, 旭硝子研究所, 「ガラスやセラミクスに金属を直接接着できるはんだ技術」)

ガラスはんだ

ガラス板へのはんだ付
(SEM:10,000倍)

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【拡大する超音波の活用領域】

利用用途はソーラーパネルのガラス面への電極接合を筆頭に、多岐にわたります。
自動車の頭脳であるMCUは外部ノイズを遮断するため総アルミニウムの筐体内部に収められますが、アルミへのはんだ付の際、超音波が使われることがあります。
また、最近のモーターのコイルやトランスは軽量化のために銅線ではなくアルミニウム線で巻くことが増えてきています。
航空機の計器などで使われており、そのはんだ付にも超音波は活躍しています。

★超音波はんだ付の特徴

  • 1.キャビテーション効果を活用した接合原理
  • 2.強固な酸化被膜をキャビテーション効果により除去可能
  • 3.酸素結合により、非金属とのはんだ付が可能
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