IPC監査プログラム

IPCが提供する工場監査プログラム

グローバルのエレクトロニクス製造業界において、IPC標準規格と認証資格トレーニングが広く採用され、国内でも増加傾向が続いています。近年、欧米およびアジア諸国で取得が急速に拡大しているのが、IPCの工場監査プログラム(IPC Validation service, QML/QPL Program)です。本プログラムでは、工場における生産工程や最終製品が、IPC標準規格に正しく準拠していることをIPCの監査員が公平な立場で監査と評価を行います。

監査プログラムには、工場の生産工程を監査するQML (認定製造者リスト)とQPL(認定製品リスト)の2つが存在します。OEMやEMSなどの製造工程に携わる企業はQML、材料や部品などのサプライヤー企業はQPLが対象となります。
本プログラムでは、工場認証の取得だけを目的としている訳ではなく、プログラムの実施を通じて第3者視点で更なる品質改善へと導くことを目的としています。

IPC監査プログラム (QML)

企業の工程監査を実施する。監査に合格することにより、国際的な競争力を高め、新しいビジネスチャンスを創出するサポートを行う。※日本では、QMLのみ実施提供可

標準ギャップ分析 (SGA)

監査サービス前に、自社工程や規定とIPCの要求事項との差異を分析する。工程や工場認定の取得はされない。

トレーニングと認証資格

001、610、7711/21の各種技能・講義トレーニングを受講し、認証資格を取得する。世界各国で現地語にて展開されており、10万人/年以上が受講している。
IPCトレーニング参照

IPC標準書

IPC標準書の冊子やデータ版を購入し活用する。また、国内外でのIPC標準化委員会(参加無料)に参加し、最新の標準化動向や調査レポートを入手することが可。
IPC標準規格参照

自社の製造能力/品質を世界へ簡単に証明

世界のエレクトロニクス業界では、QML取得企業リストが信頼できる情報源のひとつとして活用されています。 例えば、既存および潜在的なサプライヤーを評価する際に、QMLの取得有無により精査をしているOEM企業があります。世界に向けて公開されているQML取得企業リストを通じて、信頼できるEMSパートナーやサプライヤーを容易に見つけ、コンタクトを取ることができます。

EMS企業は、IPCの工場監査プログラムを取得することで、自社の製造ラインがIPCに正しく準拠し活動していることを簡単に証明出来ます。これにより、既存取引先に加え、世界規模で潜在的なビジネスパートナーに自社の製造品質を容易に示すことができ、新たなビジネスチャンスを開拓することが出来ます。本監査は、生産ラインや工場という単位で取得するため、担当者の離職などに影響を受けることはありません。

また、もし皆様のクライアントがIPC準拠を要求しているのであればこれほど簡単に証明する方法はありません。多くのEMS企業がQML取得によりクライアント監査の手間と時間が大幅に軽減されたと評価しています。自動車メーカーのGeneral Motors(GM)ではサプライヤにQMLの取得を要求しています。(IPC事例ゼネラル・モーターズ参照)


IPC監査プログラムに関する詳細説明やプレゼンテーションなど、無料で行っています。ISOやNadcapとの違いや併用などについても解説可能です。ご希望の方は下記よりお気軽にお問い合わせください。

プログラムの公開性

監査プログラムに合格すると、 QML (Qualified Manufacturers List)として、IPC Validation Webに公開され世界中の企業が確認できるようになります。掲載内容は、下記を参照ください。

海外事例①:ゼネラル・モーターズ (GM)

会社名 General Motors Company
事業内容 トラック、クロスオーバー、自動車及び自動車部品の設計、製造及び販売
事例対象 General Motors China., Inc.
  • 2016年より、IPC QMLを導入し現在に至る。中国の主にPCBAサプライヤーにおいては全社に取得を要求している。また、AIAGのCQI-17の活用と合わせて、基板実装全体の工程監査としてIPCのQML監査を取り入れている。
  • 監査レベルを3段階に分け、基本としてIPC QML、CQI-17は自主監査、個別要求事項はGM自らが監査を行う。 IPC QML > CQI-17 > GM自社監査の順

導入効果

  • 社内スタッフ間で統一化された標準言語を使用することでダイナミックな品質管理監査の際もより明確な指針を出すことが出来た。
  • サプライヤーへも具体的な要件と指示が出せ、お互いに理解や要求準拠が容易になった。その結果、サプライヤー側の管理コストが削減
  • GM側は、監査コストの削減と監査内容の平準化、IPC監査員を採用することにより、IPC基準に従った監査が可能になった。
  • また、GM自社監査の際により深い内容に特化して品質改善を促すことに集中できた

海外事例②:Askey Technology

会社名 Askey Technology
事業内容 Askey Computer(台湾)の製造およびEMS拠点として5Gなどの通信機器や車載用製品の設計および製造
事例対象 Askey Technology(中国蘇州)
  • 台湾IT企業ASUSの関連会社で5Gや通信関連機器の製造を行う。EMSおよびODMとして、欧米企業や日系企業の製造請負を担い、車載用途の製品製造もおこなう。IATE-16949、ISO13485、ISO9001などのQMSを取得済み
  • 2016年より、IPC QMLを取得し(第2工場)、2020年には第3工場にてClass3にてQML認証取得。世界各国の製造ラインにおいてQML取得を計画している

導入効果

  • 継続したQMLの監査を実施することで、各現場での課題を洗い出し改善活動へと繋げている
  • IATF-16949、ISO、メディカル用途などの様々なQMSの保管としてQMLの内容を取引先へ開示することでより高い信頼性と品質安定を実現
  • QMLを実施したことで、取引先からの確認事項が大幅に減り、監査負荷を大幅に削減できた

費用について

初年度は、お申込費用と現地監査の日数に応じて費用が変わります。監査対象のライン数や規模、特殊性などによって現地監査の日数は異なりますが、一般的には、初年度の現地監査は3日間程度です。2年目は2日間、3年目は1日程度の現地監査を行います。また、監査費用に加えて監査員の旅費交通費が別途請求となります。