まず疑うのは温度か、フラックスか。そこで止まらないために

ツノの原因はフラックスだけではない|温度との切り分け方【スティーブコラム】

目次


ツノとは何か——こて先が離れるときに引き伸ばされて固まった、はんだの突起

ス みなさんこんにちは。ジャパンユニックス、ソルダリングエンジニアのスティーブです。

今回は、こて式の自動はんだ付けで出る不良「ツノ」についてお話しします。

動画のタイトル画面。ツノの原因は、フラックスだけではない。スティーブが自己紹介している

ツノは、こて先が離れるときに引き伸ばされて固まった、はんだの突起です。では、ツノができる仕組みを見ていきましょう。

基板上のツノの実写。こて先が離れるときに引き伸ばされて固まった、はんだの突起

フラックスの二つの働き

ス フラックスには、酸化物を取り除く働きと、はんだの表面張力を下げる働きがあります。酸化物がなくなり、丸くなろうとする力も弱まるので、はんだは母材になじみ、こて先が離れても母材側へ戻ります。

フラックスの二つの働き。酸化物を取り除く、表面張力を下げる。はんだは母材になじみ、こて先が離れても母材側へ戻る

フラックスが先に失活すると

ス ところが、フラックスが先に失活すると、はんだの表面張力が下がらなくなります。そのため、はんだはこて先に引っ張られたまま固まります。

フラックスが先に失活すると表面張力が下がらず、はんだはこて先に引っ張られたまま固まる

はんだを足すとツノが収まることがありますが、量が増えたから、とは限りません。糸はんだと一緒に入る、新しいフラックスが効いている可能性が高いです。

フラックスが先に失活した場合の図。はんだを足すと新しいフラックスが入る

熱が伝わらないと

ス 一方で、熱が足りなくても、ツノはよく似た形になります。母材が温まらずに、はんだが流れにくくなります。そのため、下に広がらずに冷めてしまい、固まります。

原因を並べた図。フラックスが先に失活した場合と、母材が温まりきっていない場合。どちらも広がらず固まる

どちらのツノも、量産が安定したあとに起こることがあります。実際の温度が設定より高くずれる、当て時間が長く変わる、はんだ量が少ない。これらは、フラックスが先に失活しやすくなる変化です。位置ずれや、こて先の汚れ、摩耗で熱が伝わりにくくなると、熱不足が起こりやすくなります。見た目では区別しにくく、まずフラックスが疑われるので、熱不足は見落とされやすいのです。

量産が安定したあとでも、どちらも起こる。フラックスが先に失活しやすい変化と、熱が伝わりにくい(熱不足)原因。見た目では区別しにくい

対策は正反対

ス しかも、二つのツノは、原因に対する対策が正反対です。熱不足の対策で温める時間を長くすると、フラックスが失活して、ツノが出ることがあります。逆に、ツノを抑えようとして時間を短くすると、今度は未濡れが出ることもあります。

二つのツノは対策が正反対。温める時間を長くするとツノが出ることがある。時間を短くすると未濡れが出ることもある

窒素雰囲気下では、フラックスの酸化を抑えるため、活性を長持ちさせます。その条件が変わると、ツノが増えることもあります。量産で条件を変えたときは、何を・いつ・なぜ変えたかが記録に残っているかで、あとが大きく変わります。

窒素雰囲気下ではフラックスの酸化を抑え活性を長持ちさせる。条件が変わるとツノが増えることも。条件変更は何を・いつ・なぜを記録

どこで・いつ出たかを見る

ス 固まった形の外観より、ツノがどの場所・どのタイミングで発生したかをリアルタイムに見るほうが、情報量があります。見るポイントは、突起の向き、切れた瞬間、濡れの状態、こて先の状態。そして5つ目が、うまくいっているときの比較材料を、記録として持っているかです。

見るポイント5つ。突起の向き、切れた瞬間、濡れの状態、こて先の状態、良品との比較材料。ツノが出たときとOKのカットの比較

ここまでの話も、これから挙げる観点も、何かを変更する手順ではありません。設定・条件・材料を実際に変えるかどうかは、お客様ご自身の変更管理手順(4M変更管理)に従い、お客様が承認のうえでご判断ください。

  1. 突起の向き
  2. 切れた瞬間
  3. 濡れの状態
  4. こて先の状態
  5. 良品との比較材料——うまくいっているときの比較材料を、記録として持っているか

まとめ

  • ツノの原因は、フラックスだけではない
  • 熱が足りなくても、よく似たツノになる
  • 固まった形だけでなく、どこで・いつ出たかを見る

ス ツノの原因は、フラックスだけではありません。熱が足りないこともあります。固まった形だけでなく、どこで・いつ出たかを見る、という話でした。

まとめ。ツノの原因はフラックスだけではない。熱が足りなくてもよく似たツノになる。固まった形だけでなく、どこで・いつ出たかを見る
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\ツノが出たとき、何かを変える前に何を確認するか/

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