APEX EXPO 2026レポート|はんだ付け・信頼性・IPC最新動向を解説

2026年03月24日
展示会レポート

APEX EXPO 2026 レポート

APEX EXPO 2026レポート|はんだ付け・信頼性・IPC最新動向を解説


APEX EXPO 2026は、Global Electronics Association(旧IPC)が主催する電子機器製造分野の国際展示会・技術会議です。
本イベントは2026年3月17日から19日にかけて、米国カリフォルニア州アナハイムのAnaheim Convention Centerで開催されました。

展示会、標準化委員会、テクニカルカンファレンス、プロフェッショナルデベロップメント(講義)で構成され、設計・実装・材料・信頼性・標準の各領域における議論および情報共有の場となっています。

本レポートでは、これらを以下4つのカテゴリとまとめに分けて整理します。

1. 展示会(JAPAN UNIX)

JAPAN UNIXは、現地代理店であるFANCORTと今年も共同出展しました。ブースはメインエントランス正面に配置され、多数の来場者でにぎわいました。

出展内容は自動はんだ付け装置、レーザーはんだ付け装置を中心としており、弊社の北米オフィスおよびメキシコオフィスのスタッフが参加しました。主に北中米からの来場者との対面での技術説明および商談が実施されました。

展示会全体としては、設計・製造・材料・シミュレーションなどの各領域における企業・技術が集約され、対面での情報交換およびパートナーシップ構築の場として機能していました。

展示会ブースの様子
展示会ブースの様子
展示会ブースの様子

2. 国際標準化委員会

2-1. IPC-A-610 / J-STD-001 タスクグループ

はんだ濡れ性の図版について、受入基準と不適合基準で同一画像が使用されていた問題が指摘され、適切な基準を示す図版への修正が合意されました。

単位系については、SI単位とAWGの併記を前提とした整合が検討されました。

また、マスキング残渣やイオン汚染の扱いについては議論が行われましたが、評価方法のばらつきや定義の曖昧さから結論には至らず、継続検討となりました。なお、本年の参加者は過去最高を更新し、170名を超える専門家が世界中から集結し議論を重ねました。
本会議の詳細レポートは別途アップ予定です。

2-2. 001/610 オートモーティブ委員会

本グループは日本でも活動しており、本会議には日本グループの委員長、副委員長である鈴木氏(東海理化)と西森氏(トヨタ自動車)が代表して参加し、日本からの提案事項を説明しました。

主に車載用途の追加版では、量産実態と規格の乖離が論点となりました。
ミーリング加工に伴うエッジ欠損や部品接触などについて、外観上の問題と機能影響の関係が議論されました。

基準改訂は、基盤文書(Revision J)の更新を待って実施する方針が確認されています。

本会議の詳細レポートは後日アップ予定です。

2-3. スルーホールおよび高電圧基準

スルーホール部品のリード識別については、片側で確認できれば不適合としない方向で整理されました。

これは、識別性確保のための追加加熱やリワークが、熱ストレスによる信頼性低下を引き起こす可能性を考慮したものです。

高電圧用途の基準については、過去に削除された要件の再検討およびIPC-A-610との整合が議論されました。

2-5. QFNパッケージ課題

QFNでは、CTE差による応力集中やボイド発生などの課題が共有されました。

中央パッドの評価にはX線検査が必要であり、高密度実装における検査負荷が課題となっています。

国際標準化委員会の様子
国際標準化委員会の様子
国際標準化委員会の様子
国際標準化委員会の様子

3. テクニカルカンファレンス

テクニカルカンファレンスは、電子機器実装分野における最新の研究成果や実証データ、製造プロセスの改善事例などが発表される場であり、企業・研究機関・材料メーカーなどがそれぞれの技術課題に対する検証結果を共有することを目的としています。

発表内容は、はんだ接合信頼性、材料特性、PCB製造プロセス、清浄度評価、環境対応など多岐にわたり、設計・製造・品質の各領域にまたがる実務的な知見が中心です。

本カンファレンスでは、日本企業による発表も複数行われており、車載信頼性、環境負荷低減プロセス、材料評価などの分野において具体的なデータに基づく報告がなされました。

発表数は多数に及ぶため、本レポートでは代表的なテーマを取り上げ、その内容を整理します。

3-1. はんだ接合信頼性と機械耐久性

車載用途を中心に、はんだ接合の耐久性および設計要因に関する発表が行われました。

トヨタ自動車(柴田氏)
パッドオンビア(Pad-on-Via)がはんだ接合および凝固過程に与える影響について分析しました。
ビア構造やパッド設計がはんだ流動、ボイド形成、接合形状に影響を与えることが示されました。

Bosch
車載電子機器における信頼性設計の観点から、熱サイクルおよび機械負荷を組み合わせた評価手法を提示しました。
実使用環境を模擬した試験条件設定の重要性が示されました。

Hyundai Mobis
車載モジュールにおけるはんだ接合の長期信頼性評価を報告しました。
温度・振動の複合ストレス環境下での劣化挙動を整理し、材料および構造設計の最適化の必要性を示しました。

3-2. PCB製造プロセスと環境負荷低減

基板製造プロセスの革新および環境対応に関する発表です。

エレファンテック(林氏)
インクジェットによる選択析出型PCB製造技術を提案しました。
材料・薬品・水使用量の削減により、環境負荷低減とコスト削減の両立を実現しています。

Atotech
めっきプロセスの効率化および薬液管理技術について報告し、プロセス安定性と環境対応の両立が議論されました。

MacDermid Alpha
低温プロセスおよび材料開発により、エネルギー消費削減と品質維持の両立が可能であることが示されました。

3-3. 清浄度・湿度環境と電気的信頼性

イオン汚染および湿度環境下での信頼性評価です。

太陽インキ(角谷氏)
イオン汚染測定は試験条件依存性が高く、単一基準での評価は不適切です。
湿度環境では水膜形成と電気化学反応が主要故障要因です。

Indium Corporation
フラックス残渣と電気化学移動の関係を解析し、材料選定と洗浄プロセスの重要性を示しました。

Zestron
洗浄プロセスと残渣管理が長期信頼性に与える影響について報告しました。

共通論点
SIRやTHBなどの実環境模擬試験が不可欠であり、工程全体での管理が必要です。

テクニカルカンファレンスの様子

テクニカルカンファレンスの様子
テクニカルカンファレンスの様子

4. プロフェッショナルデベロップメント(講義)

プロフェッショナルデベロップメントは、宇宙航空、半導体、電子機器製造など各分野の専門家が講師となり、理論・設計思想・評価手法を体系的に解説する教育プログラムです。
委員会やテクニカルカンファレンスが議論や研究成果の共有を目的とするのに対し、本プログラムはそれらを実務に適用可能な形で理解することに主眼が置かれています。

近年は、世界各国から専門家および受講者が参加する教育の場としての位置づけが強まっています。

本レポートでは、アドバンスドパッケージングの進化に関する講義と、NASAのBanhu氏による「マイクロエレクトロニクスのフィールド信頼性:物理故障に基づくアプローチとリスクベース意思決定」をテーマとした講義を取り上げます。

同講義では、物理故障(Physics of Failure)およびリスクベース設計の観点から信頼性評価手法が解説されました。

4-1. 半導体パッケージとチップレット(Unimicron)

半導体の微細化が物理的・経済的な限界に近づく中で、複数チップを統合するチップレットアーキテクチャと先進パッケージングの重要性が高まっています。講義では、CoWoSなどの2.5D/3D実装技術を中心に、異種チップ統合による性能向上と歩留まり改善の両立が解説されました。また、高密度化に伴う熱マネジメント、インターコネクト設計、材料選定が信頼性に与える影響についても整理され、パッケージ設計がシステム性能を左右する主要要素となっていることが示されました。

4-2. NASAにおける信頼性工学(Banhu氏、NASA Goddard Space Flight Center)

NASAのBanhu氏による講義では、「マイクロエレクトロニクスのフィールド信頼性:物理故障に基づくアプローチとリスクベース意思決定」をテーマに、物理故障(Physics of Failure)に基づく信頼性評価の考え方が解説されました。従来の統計的手法に依存するのではなく、材料、構造、使用環境に起因する故障メカニズムを理解した上で、設計段階からリスクを評価・低減するアプローチが重要とされます。特に宇宙用途のような高信頼要求環境においては、加速試験と実環境の乖離を踏まえた評価設計と、リスクベースでの意思決定が不可欠であることが示されました。







5. まとめ

本レポートでは、APEX EXPO 2026における展示会、委員会、テクニカルカンファレンス、プロフェッショナルデベロップメントの各活動について整理しました。

展示会では、弊社JAPAN UNIXをはじめ、各社による製品・技術の提示と対面での情報交換が行われました。委員会では、IPC規格の改訂や車載用途を中心とした基準の見直しが議論されました。テクニカルカンファレンスでは、はんだ接合信頼性、PCB製造プロセス、清浄度評価といったテーマについて、各社・研究機関から実データに基づく発表が行われました。プロフェッショナルデベロップメントでは、アドバンスドパッケージおよび信頼性工学に関する体系的な講義が提供されました。

全体を通じて、設計、材料、製造プロセス、評価手法を統合したアプローチの重要性が共通して示されており、特に実環境を前提とした信頼性評価および量産適用性が主要な論点となっていました。

まとめのイメージ
資料ダウンロード
これまでに日本語に翻訳されている主要なIPC標準規格の無料版やトヨタ自動車、オムロン、アドバンテスト、GMなど各社がIPCを導入した理由や効果などの事例インタビューを入手可能です。

参考動画

今さら聞けないIPCの基本 〜IPC-A-610/J-STD-001の内容について〜
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