レーザーはんだ付け工法

~レーザーはんだ付け工法と原理~
日々進化・発展する次世代はんだ付け技術

【世界から注目を集める最新工法】

新しい技法としてレーザーはんだ付け工法が注目を集めています。しかし、こてはんだ付けとは、元々の加熱原理・接合原理が異なるなど、単純にこてはんだ付けを置き換えられるものではありません。レーザーとはんだ付けの特性を知り、適正に扱わないと、レーザーの利点を消してしまうことになりかねないので注意が必要です。レーザーはんだ付け工法の原理と使用時の注意点をここに解説します。

レーザーはんだ付け資料ダウンロードはこちら

“表面発熱”のレーザーと、“熱伝導”のこてはんだ付けの違いとは?

はんだ付けには、こてとはんだ付けをする箇所を温める“予熱”、はんだを供給するための“加熱”、そしてはんだ供給後に形を整えて仕上げる“後加熱”という3ステップの基本の工程があります。
こてはんだ付けもレーザーはんだ付けもこの流れは同じですが、加熱してはんだ供給する方法が違い、そこを理解しておくことが最も重要です。

こてはんだ付けプロセス

レーザーはんだ付けプロセス

レーザーはんだ付けとこてはんだ付けの異なる加熱原理

こてはんだ付けの作業工程

  1. こて先を350℃付近まで加熱する
  2. 結合箇所に当て、はんだ溶融温度まで加熱(熱伝達)
  3. はんだ供給

レーザーはんだ付けの作業工程

  1. はんだ付けをする箇所にレーザー照射
  2. 照射された箇所が発熱(表面発熱)
  3. 周りに熱が伝わり溶融温度まで上昇
  4. はんだ供給

こてはんだ付けはこてから熱を伝え、レーザーはんだ付けは照射された部位が発熱します。
こてはんだ付けの場合、こて先温度以上に上昇しませんが、ピンポイントで照射が可能なレーザーは当て続ければ温度は上昇し、加熱し過ぎてしまう可能性があるため、照射エネルギーと時間の調節に注意が必要です。

JAPAN UNIX Laser soldering レーザーはんだ付 マグネットワイヤー ロボット・自動機

Laser soldering
レーザーはんだ付け マグネットワイヤー

レーザーヘッドを利用した高速はんだ付け実装映像

Soldering robot & automation technology: 自動はんだ付けロボット 高速ポイントはんだ ロボット・自動機

Robotic soldering
自動はんだ付けロボット 高速ポイントはんだ

基本でもあるポイントはんだ付け。専用ロボットによる高速かつ正確なはんだ付け実装

なぜ適正温度が重要なのか?レーザーはんだ付けメカニズム

はんだは上昇・下降する温度条件によりその組成の状態が変わり、適正な温度ではんだ付けをしないと十分な強度・信頼性が実現できません。 適正温度でのはんだ付けは、はんだ内部組成は加熱する前とほとんど変わりません。過剰加熱した場合、組成の変化により強度も信頼性も下がります。
フラックスも温度によって流れ方が変わり、適正温度で加熱した場合、最初にはんだ付け部位にフラックスが流れ込み、周辺の酸化物や汚れを除去しはんだの馴染みを良くします。過剰加熱した場合は、はんだが先に流れ込んでしまいフラックスの流れを止めてしまいます。
さらに、過剰加熱は基板にもダメージを与え、基板内部にひび割れを起こすなど目視では確認できない問題を多々発生させます。

はんだの原理を理解し、レーザーの特性を知ることで不可能を可能に。

レーザーはんだ付けは加熱条件を注意しながら使用する事が大前提となりますが、実際には確立した技術であり、使い方・用途によってはこてはんだ付けの苦手な分野を代替し、これまで不可能だったはんだ付もできるようになります。

レーザーはんだ付けの特徴
  1. 非接触で基板に負荷を与えない
  2. 効率的な加熱とはんだ供給で、安定してはんだ付けの自動化が可能
  3. こて先が入らない狭い場所や高密度実装でもはんだ付けが出来る
  4. メンテナンス性が高い

レーザーはんだ付けは“非接触によるはんだ付け”ができることが最大の特長で、基板にも電子部品にも一切触れず、 レーザー照射とはんだ供給だけで物理的負荷をかけることがありません。ピンポイントで効率的に加熱できるのも大きな強みで、こて先が入らないような狭い場所や高密度実装で隣の部品と距離がない場合でも角度を変えるなどして照射できます。
こて先は定期的に交換・清掃が必要ですが、レーザーはんだ付けはそうした交換が必要な部品はごく僅か。メンテナンスの手間も削減できます。

High-power laser selective soldering 高出力 レーザーはんだ付ロボット

Robotic laser soldering
高出力レーザーはんだ付けロボット

高出力レーザーと通常出力レーザーの速度比較

Robotic Selective Laser Soldering ドーナツ型レーザーと通常レーザーの比較

Robotic laser soldering
ドーナツ型レーザーと通常レーザーの比較

基板や部品の形状に応じてレーザー形状の選択は様々。誤った形状選択で部品へどのような影響があるか検証

これからも進化・発展するレーザーはんだ付け

当社はこてはんだ付けと同様、レーザーはんだ付けも早くから製品化に成功しました。
また、数々の実験や検証、評価試験を通じて接合強度や信頼性等の高度検証を実施しています。
豊富な導入経験は、こて工法と同じようにレーザーをはんだ付けへの応用技術として確立させ、皆様に安心して導入頂けることを証明しています。

しかしながら、レーザーはんだ付けは決してこてはんだ付けの置き換えではなく、用途に合わせて両方の長所を活かした使い分けが大事となります。